ニューヨークは塵につつまれて

 1月1日、ニューヨーク。
 年明けたマンハッタンの街を歩いてみる。ほんの数時間前の馬鹿騒ぎが嘘のように、大都会の朝は鎮まりかえっている。
 カウント・ダウンが終わり、新しい年を祝福しながら飲み明かした人々は、まだ眠りについているのだろう。
 紙吹雪の残骸が道を埋めつくし、ダストボックスからはゴミが溢れている。
 この街のゴミ事情の劣悪さは、何も年末年始に限ったことではない。清潔という言葉からはかけ離れた、ある人が言うには、「薄汚れた街」――Big Apple。
 それでもニューヨークを愛して止まない人々がいる。夜通し絶えることのないネオンがその証拠だ。
 そして、私もその一人に相違ない。なぜゆえに、これほど惹きつけられるのか。それは、この溢れかえるゴミや塵のせいだ、と言ってしまったら、過言だろうか。
 それは、人が生き、夢見みて破れ、それでも日々闘いながら、確かに息づいている証に他ならない。
 誰もここに安らぎを求めない。人生のつかの間の輝きと、今生きている実感を受けとめるために、人々はここに集う。
 この街に棲むのは魔物なのか、女神なのか。それを決めるのは、各々の心次第だろう。
 ただ一つの真実は、自由の女神はいつでも、誰をも平等に、微笑みながらこの街に出迎えてくれる


 

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