ガラ・ディナーのからくり
 以前、バリで新年を迎えた時、初めて『ガラ・ディナー』なるものに参加した。
旅行代金に含まれているというので、やはり、高い年末料金を払っている上、めでたい新年だもの、これくらいのサービスはなくちゃね。と思っていたら、これは、殆どのアジアのリゾートで強制的に参加させられるもので、あらかじめ宿泊料金に加算されているものなんだと。
 なんだ、アホらしい、と思うでしょ? でもリゾート内が準備に向けて慌しくなってくる様子を見ていると、こちらもわくわくしてくるものだ。
 2002年最後の日。昼間からスタッフは大忙し。 特設ステージでは最後の飾り付けを終了し、マイクテストが敷地内に響く。 さて、ひとつだけ気になるのは気まぐれな空模様。それでもいつしか日は暮れる。 敷地内が煌びやかにライトアップされ、天候不安定な中、プール・サイドで大晦日の夜が始まった。どこを見渡してもイルミネーションに縁取られ、雲に覆われた昼間よりも明るく感じる。
 料理はバッフェ形式で、トムヤムクンや揚げ物の『屋台』まで並んでいる。まるで縁日のようで、楽しい。
 案内されたテーブルは日本人ばっか・・・・・・。バリでも日本人は固められていたなあ。気を遣っているのか、面倒だから、まとめちゃえ、ということか。ともあれ、ニッポンから来た老若男女がわいわいと食卓を囲むことになった。
 もうすぐ定年だというご夫婦は、既にタイに家を持っているとのこと。嬉しそうに老後の生活について語っていた。でも、その家にはキッチンがないそうな。その代わり食料を満載したトラックが敷地内を廻っているので、全然、問題ないのだそうだ。なんだか、せっかく南国で隠居生活を送れるようになった途端、健康を害しそうな話だ。自分が作った料理でゲストをもてなすのが好きな私は、とても住めそうにない。




ガラ・ディナーの特設ステージ


雨にうたれて
 まあ、予想はしていたけれど。
 料理がお腹に納まりつつある頃、テーブルにぽつりと、水滴が。あっという間に 激しいスコールとなり、慌てふためくゲストたち。
 でも、スタッフは落ち着いたもので、悪天候を予測して予め用意されていた、屋根の下のテーブル席(ロビーとレストラン)へとゲストを案内し始める。
 何もこんな時に降らなくたって。うらめしく天を仰いだところで、仕方のないことなんだけれど。
 雨雲が過ぎ去り、濡れたテーブルクロスを代えるまでの小一時間ほど、そこで過ごすことになる。 空気が悪い上、窮屈で、料理を取りに行くのも一苦労。結局、外のパーティ会場へ戻れたのは23時過ぎ。カウントダウンには十分間に合ったわけだけれど、かなり酔っ払ったし、 翌早朝、帰国の途につくわけだし、しかも喪中だし、ということで、これが潮時と腰を上げることにした。最初から最後まで、雨に祟られた休日だったなあ。




  
出番を控える踊り子さんたちも、雨が止むのを、じっと待つ。


雨宿り中も、料理は同じ物が用意されました。



花火を聞きながら
 部屋に戻ると、ベッドの上には花が添えられたニューイヤー・カードが置かれていた。。
 心憎いサービスだな、ロクなことがなかったホテルだったけど、ゲストに対する気遣いは忘れていないんだな。と、胸がきゅんとなった・・・・・・のもつかの間。
 ニューイヤー・カードの他にもう一枚のカード。そこには『ベッドで煙草を吸わないで下さい』と。
 あい、すみません。反論の余地もございません。厄介な客は明日、帰るんで、許してください。
 その後、ベッドに入った途端、爆音。そう、カウントダウンの花火が始まったのです。見るのは楽しいけれど、ただ『聞く』だけの花火なんて、おもしろくもなんともないものだ。


一瞬、うれしかったんだけどな。


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