-Asian Beat  vol.13-




Phuket, THAILAND

−太陽を待ち焦がれて−


 まるで地球を丸ごと覆っているのではないかと思えるほど、
見上げる空は一面に雲。
 かろうじて位置を確認できる太陽が、ああどうか、燦々と降り注いでくれるよう祈りながら、私は空を見つめ続ける。
 そうしているうちに雲が割れ、僅かな陽の光がプールの水面を照らし始めた・・・・・・。
 と、喜びもつかの間、小雨がデッキチェアを濡らしてゆく。
 いっそのこと、激しいスコールが降ればいい。
 そうすれば、あっという間に晴れ渡る青空が姿を現すに違いない。
 ならば、雨を待てばよいのか。
 ビーチ・リゾートの休日に、雨を期待するなんて、なんだか間違っているような気もする。
 もどかししい気持ちで何度も寝返りを打つと、
 なぜか植物だけは生き生きと輝いているように見える。
 プーケットは乾期の真っ只中。
 思わぬ恵みの雨に、はしゃいでいるのかのよう。

 夏時間が過ぎるのは早い。
 短い休暇の最終日。
 夕刻になってパトン・ビーチへ出てみると、夕陽が鮮やかに空を染めている。
 明日からは、きっと天気も回復するのだろう。
 恨めしい気持ちがないと言えば嘘になるけれど、入れ替わりこの地へやってくる旅人たちに、どうか新鮮な光を注いで欲しいと思う。
 結局のところ、流れぬ雲はないし、 変わらぬ空はない。
 だから、たまにはこんな旅もあるのだ。



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