-West Coast Dreaming  vol.1-




Santa Monica,
California, U.S.A.

−カリフォルニア・ボーイズはどこに−

 Hollywoodからタクシーとばして一路、サンタモニカを目指す。気分はすでにカリフォルニア・ドリーミングの世界。日に焼けた男たちがサーフボード片手に波打ち際を颯爽と歩き、どこまでも白い砂浜では若者がビーチバレーに興じている……。
 それは、あまりにも勝手な幻想でしかなかった。見渡す限り、ツーリストとおぼしき家族連れと、地元のご隠居様くらいしか目に入らない。
 よく考えてみれば、旅行者の私たちにとっては休日には違いないけれど、平日だものね、しかもまだ、6月の。
 海水は冷たくて、とても泳げない。日光浴がせいぜいの、けれど気持ちの良い気候。それでもがっかりしたのにかわりはない。そう、その頃はまだ若く、好奇心もすけべ心も旺盛な女盛りだったのだから。
 あきらめてビーチ・バーへ入ると、地元のおじさんたちが、真昼間から宴会の真っ最中。次から次へとビールをおごってくれる。下心はまるでなく、ようこそサンタモニカへ、といった粋なもてなしに、私も友人もすっかり機嫌を直してしまった。若い頃はまだ、そんな風に単純で、素直にもなれた。
 焼けた肌の逞しいカリフォルニア・ボーイズとの出会いは果たせなかったけれど、それも懐かしい夏の一日。今でもサンタモニカというと、パームツリーに囲まれたあのビーチ・バーと、おじさんたちの太陽のような笑顔を思い出す。



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