Beach Resort Junkie

 リゾートを選ぶ時、どうしても譲れない条件がある。 プライベート・ビーチか大きなプールがあること、そしてビーチ・バーが併設されていることだ。
 この2つを兼ね備えるくらいのリゾート・ホテルとなると、もちろん安くはない。バックパッカーの方々からは「旅好きの風上にもおけない」と怒られちゃいそうだけれど、私は人妻であり、OLでもあるので、おいそれと旅に出れる身分ではない。だから、たまの旅行なんだし、これくらいの贅沢は許してちょうだいと、笑ってごまかしてしまう。そもそも私のようなぐうたらにはこれくらいの設備がどうしても必要なのだ。
 『ビーチ』を求めて旅に出るわけだから、海がなくちゃ話にならない。ホテルの敷地内になければ、近くのビーチへ行けばいいじゃないかと思うでしょ。でもわざわざ出かけたくなんかない。私はすごく面倒臭がりやなのだ。朝、目が覚めたら水着に着替えてそのままドボン! が理想なのだ。
 そして、私は旅先であちこち出歩くタイプではない。デッキチェアに寝そべって、酒飲みながら太陽を浴びて、身体が火照ったら好きなだけ泳ぐ。あとは日が暮れるのを待って、ビーチ・バーへ繰り出すことだけしか頭にない。わざわざ街へまで酒を飲みになんか出かけたくない。海外へ行ってまで、帰り道の心配なんかしたくない。酔ったら、さっと寝れる状況じゃなくちゃ、嫌だ。だから敷地内にビーチ・バーがないと、すごく困る。いろんなお店を渡り歩くのもいいけれど、昼夜問わず同じビーチ・バーへ通っていると、自然、スタッフとも仲良くなれるし、ゲストとも顔馴染みになる。数日間であっても、常連の気分を味わえるのが、うれしい。
 かといって私は金持ちでもなんでもないから、こういうわがまま旅行は物価の安い東南アジアの島々でしか実現しない。それでけっこう。東南アジア好きだもん。だいたい、いくらオン・ザ・ビーチだからといって、ホノルルの5つ星ホテルなんか泊まりたくはない。高いし、日本人ばっかりだし……。って、いやこれはほとんどひがみなんだけど。

 

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