プールバーは惰性の泉


 今では珍しくも何ともなくなった、リゾート・ホテルのプール・バー(ビリヤード場じゃないよ)ではあるけれど、私はこれがまた大好きなんである。
 仕事も家事もほったらかして、南の島へでかけ、だらだら寝て飲んでいるだけなら、いつものvacationの風景。けれど、水に濡れた髪を拭きもせず、プールで遊んだついでに、水着のまんま酒を飲むなんて、これは怠惰以外のなにものでもない。
 究極の「だらけっぷり」の図がそこに成立するのである。
 私にとって、南の島の醍醐味はやはり「だらける」に尽きる。しかしながら、このプール・バーには罠が潜んでいることを、忘れてはいけない。
 ただでさえ泳いで冷え切った身体に、冷えたビールやカクテルを流し込めば、結果はわかりきっている。外からも中からも腹を冷やしているわけだから、当然、くだる。だから、各種胃薬は旅のお供として欠かせないものだ。パスポートと同じくらいに。
 バリへ行った時、ホテルのメインプールにはレストランが併設した広いプール・バー・カウンターがあった。
「あそこで、何か飲もうよ」
 と私は夫を誘う。 が、
「何も水につかりながら飲まなくたって、いいじゃん」
 ま、そうだけどさ……。
 地に足をつけて飲んでも、南の島のお酒はやっぱり格別。結局、飲み過ぎるのには変わりない。
 実は去年のレダンでちょいと痛い目にあってしまったので、次からは梅干も持参しようかと、本気で考えている今日この頃である。


 

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