Plants & Cats
- 猫と眠る島 -



敷地内は緑濃く、ハイビスカスやプルメリア等、南国ならではの花や植物でいっぱい。ばっさりと切り落とされた椰子の木の葉が無造作に積み上げられているかと思えば、頭上から聞こえてくる人の声に、視線を上げてみるとスタッフが実を切り落とす姿が映る。
そして、ここでは聞いたこともない鳥の声が一日中耳に届く。私はバード・ウォッチングにはあまり興味がないので、どんな種類が生息しているのか調べたこともないし、これまで真剣に鳥の姿を探したこともないけれど、かなりの種類の鳥がいるんじゃないかと思う。
でも朝っぱらから「クワッ カッッカッカッカッカーーーッ」と、なかなかやかましく、最初の朝はこれで目が覚めてしまった。

そこらじゅうで鳴いている割にはあまり鳥の姿は見かけず、その代わり、このリゾートには猫がたくさん! 人に馴れているので、バーにもビーチにもちょこちょこ顔を出す。アジア諸国の野良さんたちと同様、ここのにゃんこたちも、成猫でもかなりちっちゃい。
ある夜、バーで飲んでいる時に激しいスコールが降り、少ししてずぶ濡れになった白猫がやってきた。この猫、一番人懐っこく、ゲストの中でも人気者。身体を拭いてあげ、抱っこしているうちに、亭主の膝の上でぐっすりと眠りこけてしまった。
そろそろ部屋へ戻ろうかと思っても、猫は起きる様子もなく、あまりにも気持ち良さそうなので起こすのも忍びない。
私たちの心は決まった。
部屋へ連れて帰ってしまえ!
猫を抱き上げ、部屋へと向かう。途中、亭主が椰子の木の下にもう一匹、濡れたままの猫を見つけた。ついでにその子も抱き上げ、歩き始めると、またまた猫と遭遇。この子達のお父さん猫だ。
「一緒に来る?」
と、尋ねると、とことこと後をついてきた。
計、2人と3匹が部屋に集合!
使っていない灰皿に水(ミネラル・ウォーターよ!)を入れ、トイレ代わりに亭主の海用Tシャツを部屋の隅に敷いてあげた。これでお泊り準備は完了。
ところが、この夜、BODU BERUというモルディブの伝統的なダンスがあるというので、私だけちょっと部屋を抜けて写真を撮りに行った、その20分ほどの間にお父さんは出て行ったそうだ。その後、途中で拾ったブチ猫も外へ出たがり、されど一人では階段を下りれないので、抱っこして外へ連れて行ってあげる。とろそうな猫なので、ついでに拾った場所まで送っていった。
結局、最初の白猫だけが残り、朝までずっと、私たちと同じベッドで眠った。しかも堂々と、四肢を伸ばして。 一泊して帰っていった猫は、その後、バーで会っても特にすり寄ってくることも、懐くこともなく、私たちと夜を過ごしたことなんぞすっかり忘れているよう。亭主は、
「薄情者〜!」
と、嘆くけれど、これが猫というもの。今夜もまた心優しきゲストの部屋で、のんびり過ごしていることだろう。
それにしても日本に戻ってみると、家の猫たちが異常に大きく見える。

 





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