Room 〜 水上コテージに魅せられて 〜



水上コテージは海に向かって扇形に広がるように並ぶ。
橋の下には時折、ブラックチップ・シャークが顔を見せ、パン屑を投げると、どこからともなく魚たちが集まってくる。

案内されたのは一番手前右側、315号室。
今回は女5人の旅。 事前の相談通り、部屋は3:2に分かれ、私は3人で315号室を使うことに。が、ダブル・ベッドがひとつあるだけ。頼んでおいたエキストラ・ベッドが入っていないのだ。立ち去ろうとするスタッフをあわてて呼び止め、運んでもらう。覚悟はしていたことなれど、これでぐっと狭くなってしまった。
ビーチ・リゾートのヴィラ特有の高い天井だけが、わずかながら開放的な空間を感じさせてくれる。


 一年中潮風にさらされているコテージは、
 当然のことながら所々が錆びて、建付けが悪い。
 テラスへ出るドアも閉まりにくい。
 仕方のないことなれど、
 水上コテージ=高級というイメージからは、
 残念ながらかけ離れている。
 一日中部屋が明るいという点はよいのだけれど。

 カーテンやソファの黄色とブルーのアクセントは
 トロピカル・フィッシュを 連想させ、かわいらしい。
 ウェルカム・フルーツは
 翌日のハウス・キーピングの際に
 用意されていた。
 とはいってもひと部屋だけに・・・・・・。
 うっかり忘れたのか、5人で分け合って
 食べろというのか。
 いずれにしろ、皆あまりフルーツは 好まないので、
 クレームもつけないでおいた。
 これがシャンパンだったら、
 黙ってはいないところなのだけれど・・・・・・。


テラスからも直接入れるシャワー・ルームはとっても明るい。中にはグリーンが配置され、丸窓からは、海が見渡せる。
けれど翌朝のこと。テラスの階段から海へ出ようとした時、とんでもない光景を見てしまった。コテージの下を覗いてみると、シャワールームの排水溝の管が外れ、水が流れ出ている。つまり、シャンプーや石鹸の混じった水が、海に直接垂れ流しになっているのだ。
これは、こういう作りなのだろうか? 
まさか、そんはずはない。
ボリフシでただ一人の日本人スタッフにこのことを告げると、メンテナンスに連絡してくれると言う。
私たちが壊したわけではないけれど、美しい海を汚すのはやはり心苦しく、シャワーを浴びるのも申し訳ない気分になってくる。
しかしながらこの『告白』が、のちにラッキーな結果をもたらすことになるのでした。


晴れた日にはラグーナやヴァドゥが
見渡せるテラス。
ずっと海を見つめていたいけれど、
数分もするとお尻が痛くなってしまう。
できればデッキ・チェアにマットが欲しいところ。


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3日目、スタッフからの連絡で、315から308へ引っ越すことに。
例の配水管のメンテナンスをするという。
スタッフがやってくるまでの数十分。
慌てて空いている袋に片っ端から荷物を詰める。
小雨の降る中の大移動。
引越しが終わる頃にはようやく空も晴れてきた。
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308号室は扇のちょうどてっぺんあたり。
海の真正面。
同じ水上コテージでも、
位置によってまるで景色が変わる。

どこを見ても海・海・海。

ここならば、絶景の夕陽も拝める。
移動するのは正直、煩わしかったけれど、
二種類の景色を楽しめることができて、
得した気分。

カヌーを楽しむ人々も見える。


そして、夕刻。
期待していた通りの美しいサンセットが始まった。
5人全員、テラスに集まって、
夢中でシャッターを切る。
太陽が水平線の向こうに姿を消してもなお、
リゾートには光の余韻が残る。

少し涼しくなってきた。
着替えたらバーに足を運んで、
空がすっかり暗くなるまで、
夕食前のお酒を楽しもう。



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最終日、迎えのボートは午後8時。
ほぼ1日、遊んで過ごせる。
レイト・チェックアウトは、ひと部屋につき$75追加料金を払わなければならない。
どうせシャワーを浴びるだけ。
一番安いポリ・ルームを$50でデイ・ユースすることにした。
これなら1人$10で済む。
こうして2度目のお引越し。
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ポリ・ルーム113号室。
ベッド・ルームが独立しているので、同じタイプの他の部屋よりも広いのだろう。
けれど、長いこと使われていなかったのか、かなり黴臭い。
テラスの窓と玄関を開け放して、まずは風通し。
ベッド・ルームの窓は開かないので、空気を抜けない。
そんなわけで、クッションを持ち出して、テラスをリビング代わりにすることに決めた。



板張りのテラス広く、木々に遮られているため涼しくて快適。 ポリ・ルームのゲストは長期滞在の欧米人がほとんどで、
そのためか足を洗う小さな流し場があるほかに、
物干し用のロープも張ってある。
室内は日当たりが悪いけれど、ビーチはすぐ目の前。
黴のことさえなければ、経済的に楽しめるだろうけれど、
アレルギーのある人には薦められない。
ちなみに今回の旅のメンバー5人中、私も含めて3人が喘息持ち。
とてもじゃないけれど、長い時間、部屋の中にはいられなかったのです。


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 憧れだった水上コテージ。
 良い思い出にはなったけれど、
 期待していた程の感動は残らずじまい。
 TOPというものがあるのだ。
 これが出会って間もない恋人同士の
 婚前旅行であったり、ハネムーンだったとしたら、
 まるで違った印象を受けたのだろう。
 美しい海だけが見守っているという甘さ。
 それを堪能できる状況でこそ、
 水上コテージはその魅力を発揮するのだ。
 こちらはビーチ・ヴィラ。
 ドロップ・オフも近いビーチ前に並ぶ。
 中は水上コテージよりも広いらしく、
 テラスは陽を遮るものもなく、
 こちらの方が私好みだったかも。



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