まぐろの法則


 1年ちょっと前から、猫のルーが布団におしっこするようになった。
 ブログの方でしょっちゅう愚痴っているけれど、それが最近、ますます頻繁になってきたのである。
 布団おしっこはほとんどの場合、明け方に行われる。
 腹が減って鳴いているのに、こちらが無視して寝ていると、ぺたっと身体をくっつけ、やばい! と思う間もなく、ジョーーーーーーッ。
 この上なく不快な目覚めである。
 前に会社のにゃんこ先生(獣医師免許を持っている、猫多頭飼いの人)に相談したところ、既往歴のある猫なので、また尿道に何か起こっているかもしれない、可能性は低いけれど、一度機会があれば手術した病院で聞いてみれば? とのご意見を受け、ワクチンへ連れて行ったついでに担当の先生に聞いてみた。
 先生は、
「そりゃ、いやがらせでしょう」
 と簡潔に答えた。
 確かに食事制限をしている上、食べられる物も限られているので、不満はたっぷりと溜まっていることだろう。気持ちはわからなくもないけれど、こうしょっちゅう明け方に起こされてはたまったものではない。
 食事を変えることはできないので、またたびをあげたり、トイレをきれいにしたり、おもちゃを買い与えたり、何よりあまり怒らずに、スキンシップをはかってはみたものの、今のところあまり効果はないようだ。
 そんな状況が続くうちに、ふと疑問に浮かんだことがある。
 基本的な食事の量は毎日同じなのに、布団おしっこをする日と、しない日があるのはなぜだろう。
 もしかして、と思い、ここ1週間ほど、観察してみたら、ある法則がわかってきた。
 布団おしっこ攻撃の日と、その『もしかして』がほぼ一致したのである。
 ルーがおしっこ攻撃をする前日のメニュー。それは、刺身か麺類に限られている。
 どちらもルーの大好物。ごくたまにあげることはあるけれど、基本的に病院で買うドライフード以外は禁止。テーブルの周りをうろつくルーを追っ払いながら食べているのだ。
 昨日の朝も攻撃にあった。前日はまぐろ納豆を食べた。
 そして今朝も。昨日の夜は、つけ麺だった。
 自分の大好物を美味そうに食べながら、ひとかけらもお裾分けをくれない私たちは、ルーにとって、卑劣な泥棒にしか見えないのかもしれない。
 かといって、海育ちの私は刺身には目がない。肉や野菜よりもずっと好きだ。そして麺類は亭主の大好物。この季節、やっぱり冷たい麺は欠かせない、と言うより、他に食べたい物が思い浮かばない日も多い。
 どちらも食卓のメニューから消すわけにはいかないのである。
 さて、どうしたものか。
 このままだと私の布団はルーのおしっこまみれになってしまうし、しょっちゅう大物を洗濯しているので、水道代だって馬鹿にならない。
 ちょっと前までの私は、飼い猫がトイレを覚えず、あらゆる場所でおしっこをして困っている、という話をきくと、
「そりゃ、小さい頃にちゃんと躾けなかったからだよ」
 と、同情を寄せていた側だったのだ。
 それとも、食べ物以外に何か原因があるのだろうか。
 しばらく魚と麺を我慢して、再度観察してみようか。
 夏の日の迷いは続く。


 


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