成人病予備軍へようこそ


 先月の健康診断の結果が出た。今年4月に個人情報保護法が施行されたので、茶封筒に入っての配布である。
 あけてみると、健診結果票にホチキス止めで見慣れぬ白い紙。
 なんだ、これ?
『再検査の方には、後日、改めて連絡がいきます。健診場所は・・・云々』
 去年までこんなもの、ついていなかった。ま、まさか・・・・・・。
 慌てて引っぺがし、検査値を確認。ひとつだけ、これまで見たこともない判定結果『C』の文字! しかもああ・・・・・・。
 中性脂肪ですって!!
 糖分と脂分を控え、適度な運動を心がけましょう、と一言付け加えられ、『再検査』の文字がくっきりと浮かぶ。
 運動はたしかにしていないけれど、私はお菓子は滅多に食べないし、揚げ物もたいして好きではない。なぜこんな値に? 不思議に思って調べてみると・・・・・・。
 やっぱり酒かい。知らなかった。アルコールを分解する際に中性脂肪が作り出されているなんて。
 私は幼少の頃から太りやすいので、これまでちょっと高い値が出ているのは、体質のせいかとばかり思っていた。なにせ、肝臓の機能はパーフェクトな数値をはじき出しているのだ。
 お酒のせいだなんて、思ってもみなかった。このままいくと、脂肪肝→肝硬変への道、まっしぐらである。亭主のことを言っていられない。
 再検査は3ヵ月後。なんとかしなければ。
 しかも事が中性脂肪ってだけに、こっ恥ずかしい。こそこそと健診票をたたみ、急いでバッグにしまう。
 その後、気を落ち着かせるために外の休憩所で一服していると、同じくスモーカーの同僚(♂)がやってきた。ついに再検査になってしまったことを話すと、
「これで仲間入りだね」
 と、にやにやと笑いながら言う。彼は中途入社で入ってきて以来5年間、再検査にならなかったことはない。
 成人病予備軍にようこそというわけか。人の不幸は蜜の味ってとこだろう。
 酒で死ねれば本望と、若い頃は豪語したものだったけれど、いざ、その予兆が目の前に晒されると、途端に臆病になる。しかも最近、禁煙をしようと思って『禁煙セラピー』なんぞを借りたんだけれど、まずはこっちが先決だ。
 まあそんなわけで、平日、休肝日を置くことにした。今のところ週2-3日の割合で飲まない日を作っている。 お酒が入ってないと寝つきが悪いんじゃないかと心配だったけれど、意外にもぐっすりと眠れた。年かしら・・・・・・。
 完全禁酒とはいかなくても、これで少しは値も良くなるだろうか。年明けの再検査が待ち遠しくもあり、恐ろしくもある。


 


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