生きるべき者、死すべき者



 ナイジェリアで未婚の母となった女性に対して『石打ちの刑』の判決が下されたと聞いた。響きからして恐ろしげなこの『石打ちの刑』、ムチ打ち刑をもう少しひどくしたやつ、くらいだと 思っていたら、なんと、首から下を地中に埋め、四肢の自由を奪われた受刑者の頭に向かって石を投げて死に至らしめる、というなんとも残酷な処刑方法だとわかり、仰天している。
 独身女性でありながらエッチして、結果妊娠し、出産。
 戒律厳しいイスラム教からすれば、この事実こそが仰天ものなのだろうけれど、現代にそんな処刑法がまだ残っているなんて信じられない。
 宗教について言及するのは避けた方が無難であることはわかっているけれど、後味の悪い判決だ。
 日本ですら今や珍しくもないシングル・マザー。私も何人か知っているけれど、皆、逞しくかつ頼もしい。亭主がいないことをハンデと考えている人は一人もいないように思う。子供を守れるのは自分だけということを決してプレッシャーとは思わず、誇りに思っているからこそだろう。自分の選択が間違っていなかったことを証明するかのように、彼女たちはいつも生き生きと輝いている。
 かの女性も生きる国が違っていたら、子供の運命も180度変わっていたはずだ。彼女にとっては、結婚という言葉に惑わされただけでなく、一歩間違えれば極刑となることがわかっていた上での、決死の選択だったに違いない。結果、最悪の状況に追いこまれてしまったというわけだ。
 そんな強い女性が存在する一方で、この国には弱いものいじめをすることでしか己の存在理由をアピールできない軟弱者がいる。
 猫虐殺犯『MJ』。
 かなり話題になったから、ご存知の方も多いだろう。野良猫を捕獲し、なぶり殺しにする様子をインターネットでライブ中継したキチガイだ。
 奴が躊躇することなく残虐な犯行に及んだのは言うまでもなく、「たいした罪にならない」という甘ったれた認識があったからに他ならない。
 この事件に関しては、飼い猫ではなかった為、器物破損罪(どうして動物が『器物』なんだ・・・)が適用されず、動物愛護法違反のみの処罰となる。
『100万以下の罰金、1年以下の懲役』という超激甘な罰則だ。
 実際、奴は「100万円払えば済むこと」との言葉を残している。確信犯である。
 出来ることなら例の女性の代わりに、こいつを石打ちの刑に処してくれれば、と思う。奴にこそふさわしい処刑法ではないですか(本音を言わせてもらえば市中引き摺りまわしの上磔・獄門でもまだ甘い)。

 それにしても新しい生命をこの世に誕生させた女性が死刑、かたや動物とはいえ小さな生命をこの上なく残虐な手口で奪った男がせいぜい罰金刑だなんて、あまりにも不公平すぎやしないだろうか。
 ともあれ、MJの初公判は9月30日。現地に赴いて石でも投げてやりたいところだが、福岡はちょっと遠い。
 痛ましい事件の被害者となった猫のために、せめてもの供養として嘆願書も署名も送ったけれど、それらがどうか無駄にならないよう、厳重に処分してほしいものである。



 
 

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