からだにいいこと



 季節は巡り、年に一度の健康診断の時期がやってきた。先日、日程表が配られ、私は10月某日の朝9:00からとなっていた。
 やれやれ、朝っぱらからバリウムである。バリウム自体はもう何度か飲んでいるのでさほど苦痛に感じないけれど、どうにも慣れないのはその前に飲まされるゲップ促進の為の粉末剤である。
 一口で飲むには量が多く、粒子が粗い上に水もちょっとしか与えられないので溜飲するのに 非常に苦労する。だいたい、ゲップしちゃいかんのにゲップを促進させる薬を飲ませるなんて、釈然としない。胃をふくらませて検査しやすくする為なんだろうけれど、飲まされる方はたまったものではない。
 まあ年に一度だし、なんたってタダなのだから、文句も言えない。しかも私の会社は薬業健保なので、健康診断のメニューもかなりゴーヂャスだ。体重・身長・尿&血液&視力&聴覚の各検査の他に、レントゲン、心電図までとる。
 生まれてこのかた、心電図なんてとったこともなかったので、足にまで装置をつけられるとは 知らなかった。よって、ムダ毛のお手入れをまったくしていなかった私は、初めての健康診断で、毛むくじゃらの脛を晒してしまった。

 私はどう考えても健康的な生活を送っているとはいえない。どちらかといえば、身体に悪いことしか していないはずだ。毎晩、飲んだくれているし、スモーカーだし、辛いもの&しょっぱいもの大好きだし、 コーヒーはブラックで飲む。おまけに運動というものを一切していない。それでいてこの年になるまで病気らしい病気をしたことがないので、超健康体と言っていいだろう。
 けれど、あるお医者さんによると、健康の秘訣は「何もしないこと」なんだそうだ。病気の時には安静が一番なんだから、だったら健康な時から安静にしているにこしたことはない、 というのが彼の持論だ。 まるでトドのようにぐうたらしている私の健康状態から鑑みると、間違っているとも思えない。
 とはいえ、いつまでも若くないのだから、毎度毎度良い検査結果が出るとは限らないので、あまりたかをくくらないでおこうと思う。そして忘れちゃいけない、足のムダ毛処理。あの時の若い先生はさぞかしびっくりしただろうなあ。あー、恥ずかし。



 
 

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