冬のせいにして



 ド健康のはずの私に、ここ最近、体調不良が続いている。
 一年の計は元旦にあり、と言うけれど、考えてみれば正月休みの後半は旅の疲れも手伝って、寝ている時間が多かった。そのせいかな、いや単純に歳のせいなのか。
 どっちにしろたいしたことではなく、風邪が治りにくかったり、子宮癌検査でまたまたひっかりそうになったりといった程度で、生活に支障があるわけではないので、よしとしよう。
 おそらく、全てはこの寒さのせいだ。春一番が吹いたはずなのに、ちっとも暖かくなる兆しがない。本当に今、3月なのか、桜の季節なのか、と疑いたくなるような気候が続いている。
 冬って、こんなに長いものだったっけ? ウィンター・スポーツには全く興味のない私にとって、冬なんて最も『来なくてよい季節』である。
 嫌だ嫌だと思っていると、嫌なことしか起こらない。これは三十○年生きてきて、私が見出した確固たる法則のひとつである。
 毎朝、タイツに足を通す時、お風呂上りになお寒さを拭いきれない時、私は心の中で叫んでいる。
「嫌だ嫌だ。早く冬なんか終わってしまえ」
 と。だから春はなかなかやって来ないし、やたら風邪をひく。
 お正月、風邪薬(パ○ロン)が切れたので、薬屋さんへ買いに行った。2人きりの生活だし、薬なんてめったに飲むものではない。よって、飲みきらぬうちに賞味(?)期限切れということになってしまうので、いつも一番小さな瓶を買うのだけれど、今回は、どうせまた風邪ひくのだから、と一番大きな瓶を買ったらこのざまである。たくさん買ったら買ったで、それだけ飲むはめになるよう、世の中というのはうまく出来ているのだ。
 昔、アルバイトしていたお店のママさんが、
「私は絶対、がん保険にだけは入らないの」
 と言っていた。理由は、
「入ったら、がんになりそうな気がするから」
 これも同じ原理だろう。備えあれば憂いなし、ではなくて、備えた分だけ憂いが降りかかる、といったところだろうか。
 庶民の人生なんて所詮こんなものさ、ケチケチしないでパーっとお金使お! と言いたいところだけれど、私の亭主はかなり堅実なタイプで、しっかりと貯金通帳を握っている。子供のいない私たち夫婦は老後のことも考えなくちゃならないので、パーっと出来ないのが現実。
 まあ、それはまた別の話として、とりあえず体調不良は寒い冬のせいにしておこう。



 
 

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