少子化は誰のせい
早いもので、結婚してまる6年となった。
最初の頃はよく、
「お子さんのご予定は?」
と訊かれたものだけれど、最近はそんな質問もめっきりなくなった。
私たち夫婦が子供を作らない理由。挙げればきりがないけれど、現在の日本の経済情勢がかなりの部分をしめている。
少子化問題がクローズ・アップされ、あちこちで討論会が繰り広げられているけれど、お偉い政治家に限って、とんちんかんなことを言う。
年々増える失業者、そして自殺者。明日は我が身と怯える状況で、子供を産む勇気があるだろうか?
決して自由を謳歌しているわけではない。産みたくても産めない、そんなご時世を作ったのは、一体誰なのか、よく考えてみて欲しい。
器がないのをわかってて、熱いお茶を注ぐ人間はいない。発泡酒に税金をかけておきながら、高級ブランデーを飲んでいるお偉方にはわかるまい。
私の子宮の状態は決してよくない。産むならば、今しかないと宣告されてながらも、そのつもりはないし、このままいけば一生、子供を持たず、亭主と二人暮らしていくだろう。
けれども、たとえば亭主の帰りが遅い夜。事故にでもあったら、事件に巻き込まれでもしたら、と
妄想し始める時、二人の血を分けた子供がいたら、どれだけ慰められるだろうと、つくづく思う。
亭主にしたって、同じ想いをしているはずだ。
私たちの場合は、自らの意志をもって子供を作らないと決めているから、そういった物憂い想いも致し方ないかもしれない。
けれど、どうしても子供をと、不妊治療に通い、努力を続けている女性がたくさんいることを、認めてはくれないだろうか。そして、晩婚化がますます進む現在において、高齢出産は母体の生命までをも脅かすほどの危険を伴うものだとういうことを。
子供を持たない女性を責める前に、すべての市町村にきちんとした託児所を作り、出産後は確実に戻っていける職場を
作るのが先ではないか。 このままでは、『三年子無きは去れ』という、女性蔑視の時代に戻ってしまう。
いずれにせよ、子供を作らず国家に貢献しない女性は、老いても税金で養う必要などないと、ふざけたことをのたまう人間が
たとえ一時にせよ一国一城の主に君臨していたしょうもない国に、子孫を残すつもりはないと考える夫婦がいたって、ちっとも不思議ではないのだ。
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