ザ・リフォーム〜ゴムゾーリ生活



 いよいよ床が剥がされた。猫が穴に入ったりしないよう、その日の作業が終わった後はコンパネを敷いてはもらっているけれど、当然のことながら床は木屑と埃だらけである。
 狭い部屋に日中閉じ込められた猫たちを少し遊ばせるために、クイックル・ワイパーをかけてはみたものの、そんな生っちょろいことではとても間に合わない。床に開いた隙間へ出来る限り埃を落とし、30分かけてなんとか猫が走り回っても埃が立たない程度までになった。
 とはいえ、歩くとざらざらする感触は拭えない。いちいち気にしていたら身がもたないけれど、風呂上りなんぞはやはり気持ちの良いものではない。我が家にはスリッパなんてものはないので、大きなゴミ袋にどかどかと放り込んだ下駄箱の靴を漁り、ゴムゾーリを取り出した。イワトビペンギンがデザインされたペアのゴムゾーリで、その昔、亭主がUFOキャッチャーで獲得したものだ。ぬいぐるみなんかと違って、こういうのは実用性があって非常によろしい。
 私はもうずっとこれを愛用しているので、色も剥げてかなりボロい。一方亭主のゾーリは新品同様である。そんなことはどうでもいいとして、一段落するまで、ゴムゾーリ生活をすることにした。
 なんだか、砂浜でキャンプしているようで、楽しい・・・・・・わけがない。
 トイレへ行くにもペタペタ。 しょうゆひとつ探すのにもペタペタ。いちいちゴムゾーリを履かねばならないので、面倒なことこの上ない。
 まあ、それくらいの不便はよしとして、やはり困ってしまったのが食事である。キッチンの流しにもガス台にもカバーがかけられ、お湯も沸かせない状態。 使える調理器具といえばトースターと電子レンジ、そして炊飯器だけである。でも流しが使えないとなると米も研げないではないか。 リフォーム中のために買い置きしていたカップラーメンだって、お湯がないことには作れない。
 だったら出前か。といってもうちはめったに出前はとらないし、たまに利用するのはピザか寿司くらい。 いつかこんなこともあるだろうと、溜めておいた出前のチラシを引っ張り出して研究してみる。

 宅配中華S:脂っこいものが苦手な私たち。パス。
 出前専門店K:昔住んでいたアパートの近くにあり、そのおぞましく不潔な環境を知っているので、絶対パス。
 仕出弁当:夜はお酒飲むから、おつまみっぽいのがいいんだよなあ。よって、パス。

 心踊らされるメニューがない。高いお金払ってまで食べたいものが全くないのだ! これってつつましいのか、贅沢なのか、よくわからない。
 さあ、月末までの食生活、どうなることか。



 

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