恋人たちのシネマ



 恋におちた日から、別れの時、あるいはめでたくゴールインまでの間に、世のカップルは平均何回、映画館へと足を運ぶのであろう。
 デートの定番といえば映画。特に初めて相手を誘う時には、もってこいの口実だ。
 映画は嫌いじゃないけれど、出不精の私はたいてい、レンタルビデオになる日を待つ。亭主も家でまったりが好きな方なので、二人で映画館に赴いたのは数える程しかない。
 結婚前となると、たったの3回。しかも、全てお正月映画の代表格、『ゴジラ』シリーズである。こればっかりは迫力の大スクリーンで観なければ気が済まない。出不精夫婦の、数少ない年中行事である。
 さて、あっという間に師走に入り、いよいよ年末のお楽しみ、『ゴジラ』が先週から封切りとなった。今年は『ゴジラ対モスラ対メカゴジラ』である。
 去年の『ゴジラ対メカゴジラ』は釈由美子のために作られたような作品で、主役であるはずのゴジラはあまりスポットがあたることなく(数年に一度、この種の作品がある)、かなり不満が残ったのだが、はたして、今度の作品はどうか。わくわくしながら過ごした一年間。公開初日に行きたかったところだが、残念ながら亭主は仕事。私に洗脳されてすっかりゴジラファンになった亭主をさしおいて一人で観るわけにもいかない。
 よりによってこんな大切な時期に。ゴジラが私を待っているというのに・・・・・・。
 この週末は1日だけ休みがとれそうなのだが、久しぶりの貴重な休日。ゆっくりと家で過ごさせてあげたいとも思う。
 しかしながら、次の週末には海の向うへ旅立っている。 ということは、ゴジラを観ずして年を越してしまうのは、ほぼ確実である。
 仕方がない。こんな年もある。年明けにはなんとか都合をつけなければ。
 ところで『ゴジラ』シリーズ以外となると、2人で映画館まで行って観たのは『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』くらいのものである。これは私のたっての希望で、嫌がる亭主を強引に連れていったのだ。
 そう、私はホラー映画が大好き! 
 けれど、亭主は
「くっだらねーっ!」
 と、なかなかこの手の映画には付き合ってくれない。
 で、『ブレア〜』の感想はというと、観る前から「くっだらねーっ!」と言っていた亭主の予想が的中した。当分、ホラー映画を2人で観に行くことはなさそうだ。 くっだらねーものばかりじゃないんだけれどなあ。
 まあ、そんな亭主も『スクリーム』や『ラスト・サマー』等、絶叫系は好きみたいだ。私はどちらかというと、殺人鬼ものより心理的な恐怖や悪魔、幽霊船といった類の方が好み。 ホラー映画については語り出したら止まらないので、別の機会に書くこととして、とりあえずはロードショウが終わらないうちにゴジラに会いに行かなければ。
 そしてそして、来年はゴジラ誕生50周年。製作者側は何も特別なことはしないと言っているけれど、きっと何かが起こるに違いないと、ドキドキしている年の瀬である。



 


TOPHOMENEXT