風邪汁パワー
基本的には健康なのに、冬本番になるとよく風邪をひく亭主。風邪をひくと扁桃腺が腫れて必ず熱を出す。ここ2、3ヵ月で何度病院へ行ったことやら。
もっとも何日も高熱が続くことはなく、3日後くらいには、平熱に戻り、再び社会復帰、というパターンが続いている。
年末の旅行直前、また風邪をひいた。 いつもとはちょいと具合が違って、微熱が下がらず、ぐだぐだと調子の悪い日が過ぎていった。
今回ばかりはやばいかな、と、とにもかくにも病院へ行かせてみた。
注射を打ってもらい、一番強い抗生物質をもらい、本調子とはいかないまでも、なんとか出発の日までには体調も整った。
そしてバリに到着し、湿気を含んだ熱い風に触れた瞬間、みるみるうちにエネルギーが漲ったようで、つい数日前までぐったりしていたのが嘘のように元気になってしまった。
私もそうだけれど、夏大好き人間の治療薬は熱い風と太陽に他ならない。
けれども、風邪をひく度に南国ビーチへ行くわけにもいかない。そんな時には、やっぱり我が家は『風邪汁』である。
たくさんのねぎとにんにく、生姜をみじん切りにし、器に入れる。味噌、酒粕、しょうゆ、かつおぶし、卵を加えてよーくまぜまぜする。そこに熱湯を注いでさらにかき混ぜる。卵がふんわりと白く固まって、完成である。
身体は温まるし、パワーもつく。軽い風邪なんぞはこれを飲んで一晩ぐっすり眠れば、私なんかはたちまち治ってしまうのだ。
さて、先週末のこと。またまた熱っぽいとぼやきながら亭主が帰宅した。熱をはかってみると、なんと、39度近くある。
こりゃてーへんだっ! ということでとにかくあるったけの布団や毛布をかけて寝かせる。
翌日の土曜日、私も付き添って病院へ連れて行き、インフルエンザの検査もしてもらう。こちらは陰性でひとまず、ほっ。けれどもしばらくは安静とのこと。
この夜はお客さんを招いてあったので、インフルエンザなら断ろうかと思っていたけれど、お客様の前に出る時にはマスクをつけさせ、細心の注意を払えばそうそううつりはしないだろう。
もっとも亭主にしたって、今夜はとてもホスト役はつとまらない。せっかくのご馳走も食べれず、マスク姿で挨拶しただけで、寝室に引っ込んでしまった。またしばらくは風邪汁のお世話になる。しょうがを買い足さなくては。だって冬はまだまだ続くのだ。
それにしても、そんな亭主と同じ屋根の下で暮らし、同じ寝室で寝起きしているのに、私はうつることなくぴんぴんしている。
昔から両親が、
「あんたは健康だけが取り柄だから」
と、よくぼやいていたっけ。元気なくせに、亭主と一緒になってスタミナたっぷりの風邪汁を飲んでいるのだから、ますます健康になっちゃいそうだ。
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