Let's speak Nyanglish!



 遅れ馳せながら、ミャウリンガルを買った。オークションで\4,000。待ち続けた甲斐あって、狙い通り、市場価格の半額である。
 早速、初期設定。私はご存知の通り機械音痴なので、このへんは亭主にやってもらう。
 名前はひとつしか入れられない。ルーにするかココにするか、悩んだ末、面倒なので「るここ」と入れてみた。
 では、スイッチ・オン!
 ・・・・・・。
 そう、猫は人間の都合に合わせて鳴くような動物ではない。
 しかも、このミャウリンガルという物、かなり精巧に出来ているようで、ほんの小さな雑音まで拾ってしまう。
 TVの音。猫を呼ぶ私たちの声。 その都度、ボタンをぴこぴこ押して、翻訳画面に戻さなければならない。結構、面倒だ。
 TVを消し、息を潜め、ココの顔に近づける。 しかれども、それは猫にとっては、初めてお目にかかる、『変な物』に他ならない。ふがふがとまず匂いを嗅ぐ。
「ふがふが」もしっかり翻訳され、出てきた文字は、
「イケ猫紹介してー」
 続いてゴロゴロと喉を鳴らしながらすり寄ってきたルー。
「にくきゅうさわって!」
 よおーし! 触ってあげようっ! と、ひっくり返して肉球をぷちゅー。すると、嫌がって逃げてしまった。
 まあ、予想通り。こんなもんだよなあ、やっぱり・・・・・・。
 そして、猫どもが一番やかましく鳴くごはん時。この時ばかりは間違いなく「お腹すいた」と言っているだろうと、ドライフードの袋を見せつけながら近づけてみる。
「もっとかまって欲しいにゃ〜」
 そうか、お腹がすいているんじゃないのか。んじゃ、ごはんはいらないね。
 と、本気で信じるわけもなく、納得いかないまま、猫たちのごはんタイムとなった。

 私が昔から猫語翻訳機を欲しかったのは、なんといっても、猫たちの体調管理のためである。動物は言葉を話せない。だから食欲がなかったり、なんとなく元気がないように見える時なんぞ、不安なことこの上ない。お腹が痛いのか、頭が痛いのか、病状を訴えてくれればどんなにいいだろう、と思っているわけだ。 願わくばそんな日は永遠に訪れてほしくないけれど。

 猫語→人間語の翻訳が難しいのであれば、反対にこちら(人間)の声を猫語に訳してはくれないだろうか。
「そこでお爪研いじゃ、いけません」
 と言えば、音声で
「ウミャウミャ、ミャーミャ」
 なんてね。
 そんなわけで、まだまだ猫たちとのコミュニケーションは謎に包まれている。



 


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