BAD MORNING!!



 昔から、とにもかくにも寝起きが悪い。
 朝の目覚まし時計の音ほど不快きわまるものはない。
 毎朝、家を出る時に必ず思うことがある。
「あー、猫になりたいっ!」
 朝ご飯を食べた途端、ご満悦の表情で気持良く眠る猫たちを横目に、ドアを開ける瞬間の虚しさといったら……。

 私の両親は揃って低血圧で、宿泊客のいない朝は、昼まで爆睡していた。さすがにお弁当だけは作ってくれたけど、朝食の用意は私が子供の頃から住み込んでいるお手伝いさんにまかせて、再び眠りにつくのが常だった。
 当然のことながら、私は、学校を卒業して大人になれば朝は好きなだけ眠れるのだ! と信じ込んでしまっていたのだ。実は、結構な歳になるまで、本気でそう思っていた。
 もちろん、そんな馬鹿な話はあるわけもなく、大人になった今も平日はのたうちまわって起きる日々が現実である。
 だから週末は目覚ましを絶対にかけず、好きなだけ眠る。亭主も先に起きても決して私を起こさない。 休日は何があろうと、お互い、自然に目が覚めるまで起こさない、というのが我が家の掟なのだ。

 それにしても朝から溌剌としている人を見ると、本当に不思議に思う。 これから会社へ行くというのに、朝っぱらから洗濯機を回している友人の姿を見た時には、真剣にびっくりした。その目覚めの良さを、半分でも分けて欲しい。
 こればかりはルーズな人間か否かではなく、体質的な原因があると私は信じている。 眠いものは眠いのだ。身体が睡眠を欲しているのだ! 人間というものは、寝たい時に寝て、起きたい時に起きればよいのだ!
 けれど、両親も60の声を聞く頃にはすっかり朝寝坊の癖はなくなって、早寝早起きの典型的お年寄り生活が身についた。
 歳を重ねれば、私も朝5時にはばっちりと目が覚め、はりきって洗濯しちゃったりするようになるのだろうか。そんな日がくるなんて、今はとても信じられない。
 なんにせよ、睡眠は健康のもと! 洗濯なんぞ、日が高くなってからすりゃいいんだから、休日の朝くらい、好きなだけ寝てやりましょ。


 


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