おでんリサイクル



 涼しくなってきたので、週末、おでんを作ろうということになった。我が家は真夏でも平気で鍋を囲むのだけれど、さすがにおでんは秋冬限定である。
 前日から大根やら卵やらを下拵えし、あとは翌日色々と具を買い足して煮込むだけである。
 が、当日はうってかわって蒸し暑さが戻り、おでん日和とはとても言えない。しかれども、既に仕込みをしてしまっているので、そのままおでん決行ということになった。
 私の大好きなちくわぶ、亭主の好きなつみれをたくさん。コンニャク、しらたき、昆布、はんぺん、さつま揚げ。おまけにこの日特売だった大きながんもどきを買った。
 一番大きな鍋にたっぷりと出汁をとり、ぐつぐつぐつ。具が膨らんできて、鍋からあふれんばかりになったので、小さな鍋に取り分け、 ガス台2台使っての大掛かりな調理となってしまった。
 どうすんだ!? 2人で食べきれるのか、これ?
 そうは言ってもおでんは具沢山でなければ、おいしく出来ない。上記に上げた具の、どれが欠けても完璧なおでんは作れないのだ。
 お蔭様でおいしく仕上がり、亭主が休日出勤から帰って、早速夕食。ビールをあけ、亭主の皿につみれと大根を取り分けると、
「なんか、今日、おでん気分じゃないんだよなあ」
 その気持はわからないでもない。私にしたって、こんな蒸し暑い日は冷奴とカツオの刺身でも食べたいところだ。それでも膨大な量のおでんを食べるしかない。
 ちくわぶ→ちくわぶ→大根→ちくわぶ→ハンペン→ちくわぶ→卵 、てな感じで黙々と食べるも、なかなか減っていかない。小さい方の鍋半分くらいになったところで、終了。
 ほんとに、どうすんだ、残ったおでん!?
「月曜日からお弁当で持っていこう」
 と私が言うと、
「よしなよ、恥ずかしい」
 と亭主。人の弁当にケチをつけるなら、もっと食べてくれればいいのに。
 そしてもちろん、月曜日のおべんとのおかずはおでんとなった。あまり胸を張って食べれるものではないので、人目を避けてレンジにかけ、デスクでこっそりと食べた。
 おでん弁当も毎日じゃ飽きるし、悪くなるのもなんなので、残った具を色々とアレンジすることにした。お惣菜のリサイクルはお手のものである。
 つみれとコンニャクと昆布を甘辛く煮込んでみた。
 はんぺんを一口大に切って、水菜と一緒に卵とじにした。
 大根とサバの水煮缶を使って、なんちゃってあら汁を作った。
 がんもどきと青菜をちょっと濃い目の味付けで煮物にした。
 それでも残った具は夕飯の主食代わりにせっせと食べた。
 そして、1週間。ようやくおでんの日々から解放された。結局、3シーズン分くらいのおでんを食べたのではないか。巨大なタッパーで場所を陣取っていたおでんがなくなり、冷蔵庫もすっきり。
 やはり、おでんというものは、大勢で食べるべく料理なのだ。今度はお客さんを招いた時にでも作ることとしよう。でもでもでも、今年の冬はもう、絶対に作るものかー!!


 


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