ENJOY SHOPPING!!



 エーンジョイ、ショッピング。素敵なMy Town♪
 7年も通えば、すっかり覚えてしまった近所のスーパーのテーマ・ソング。 チェーン展開しているたいていのスーパー・マーケットもそうだろうけれど、このスーパーもご多分に漏れず、ポイント・カードなるものを発行している。250ポイントで1枚のポイント券と引き換えとなる。このポイント券を貯めれば色んなものと交換できる、というもの。交換品はなかなかの品揃えで、航空券(国内)なんてのもあるのだから、たいしたものだ。
 8月の半ば、いつものように店に入ると大きな張り紙。
『ポイント・カードが変わります』
 これまでのカードが使えなくなり、ポイント券も廃止。カードのみで管理されるとのこと。
 それはいいのだけれど、8月末日までに貯まったポイント券を使ってくれ、というのだ。
 なんたって7年である。一度も品物と交換したことがないので、かなりの枚数が貯まっている。慌ててカタログを広げ、亭主とじっくり相談。
 食器やアジアン・グッズにも惹かれたけれど、前から欲しかった除湿機を貰うことにした。それでも使い切れないポイント券は、商品券に換えてもらった。1枚で300円分の買い物ができる。数えてみたら、30枚近く! さすが、7年間ほぼ毎日通った賜物である。これだけあれば、しばらくは家計も助かるというものだ。
 けれど、お金と同じ価値があるとはいえ、本物のお札ほど貴重なものとはどうしても思えない。
 せっかくだから、贅沢しちゃおっかな、と私は亭主に提案する。
「ねえ、霜降りの和牛肉、買わない?」
「んー、別にいいんじゃない」
 話に乗るかと思った亭主はあまり興味がなさそう。肉のコーナーに立ち寄るたびに、霜降り肉に手を伸ばすくせに(いつも私が却下する)、いざとなるとこれだ。
 でも、庶民の金銭感覚が、どっぷりと身に染み込んでいるのは亭主だけではない。私にしたって、買い方はいつもと同じ。『半額』とか『50円引き』のシールが貼られたものを買い物カゴに放り込み、不要なものは買わない。
 結局、あっという間に300円券×30枚は底をついてしまった。 なくなったらなくなったで、やっぱり一度くらい霜降り買えばよかったなー、と思う。しみじみと・・・・・・。
 けれど、もう一度同じことがあったなら、やはり私はいつも通りの買い物をするのだと思う。霜降りの国産牛とは言っても、決して手の届かない値段ではない。誕生日とかクリスマスとか、特別な日に買えばいいのだ、となんだかんだ理由をつけて諦めるところが、庶民なんだなあ、とつくづく思う。ちょっとした贅沢に一歩踏み出す勇気が出ないだけなのだ。損な性格なのか、つつましいのかよくわからないけど。


 


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