ホテル選びは大混乱



 気がつけば父の一周忌が近づいていた。
 遺言であるハワイでの散骨は延びに延びて、結局年を越してしまった。そろそろ本腰上げて計画を練らねばなるまい。
 とはいえ、亭主も仕事を休めそうにないし、母も兄一家も海外となるとおいそれと出かけられる状況ではない。結局、私一人で父を見送る決心をした。

 まずは航空券。ワールド・パークスのマイルがちょうどあとハワイ一往復分残っている。春休みを避けて空席紹介をすると、3泊5日の日程で獲れるのは、3/14出発のみであった。
 となると、あと2週間しか余裕がない。大丈夫だろうか? まあ、そうは言ってもハワイ。宿はいくらでもある。
 が、厄介なのはこの「いくらでもある」という現状なのだ。
 たとえば4、5件しか宿のないリゾートで島あれば、“リーズナブルなお値段の一人旅に適切なホテル”を選び出すことは簡単だろう。しかれども、ハワイ・オアフ島・ワイキキビーチである。ネットで調べているうちに、嫌になってきた。一泊$100前後を考えて検索していたのだけれど、それでも馬鹿みたいな件数がヒットする。こうなりゃどこでもいいってな気分になってくるものだ。
 ひとまずネット予約は中断して、会社の福利厚生クラブに電話することにした。ホノルルには提携ホテルが何件かあり、まずまずの料金で宿泊できる。第一希望のコンドがとれず、一泊\2000ほど高くなるホテルはどうかとのこと。あー、もうめんどい。いいです、いいです。そこにします。と、決めてしまった。
 例によって私の悪い癖で、後になってもう少し調べればよかったと後悔するんですね、これが。
 ところが、少しして電話があり、料金を間違えていたとのこと。さらに高くなり、最初の予算をかなり上回ってしまった。本来ならキャンセル料がかかる時期ではあるけれど、クラブ側の間違いなので、なかったことにしてもらえた。
 これで仕切りなおし、である。
 さて次に即回答がもらえるサイトで絞込み検索をやってみた。これが便利! もっと早く見付ければよかった。
 その中でふと目にとまった「ザ・ブレイカーズ・ホテル」。おそらく雑誌で読んだのだろうけれど、私の記憶にどちらかというと「良いホテル」としてひっかかっていた名前だ。
 誰か泊まった人はいないか。旅行記を検索してみる。すると、このホテルには犬と黒猫が飼われていることがわかり、これで即決。単純だけれど、見知らぬ人間よりも、動物がもてなしてくれる方がずっといいに決まっている。 これなら一人でもちっとも淋しくないだろう。
 ホノルルにホテルは星の数ほどあれど、わんこ&にゃんこが迎えてくれるホテルなんて、他にないだろう。 一人旅の不安な気持なんて、あっという間に吹き飛んでしまった。
 私って、つくづく単細胞な生物。けれど、動物好きなら、きっとこの気持ち、わかってくれるだろうな。
 というわけで、エアもホテルも決定。あとは荷造りを残すのみとなり、つかの間、ほっとする時間が出来たのでした。



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