、食後のコーヒーを飲む頃、その日最初のボートが島を出る。
リゾートを発つゲストの荷物が運ばれ、スタッフに見送られながら島を後にする人々の姿。

ああ、明日には私たちもあの中にいるんだ。

と、帰国前日、しみじみとボートに乗り込むゲストを見つめていた。


の高いブロンド美人が、別れを惜しんで誰かの肩に腕をまわしている。
スタッフかそれとも他のゲストか。
いずれにしろ、南の島での、ひとときの恋の終わりはせつなくも美しい・・・・・・って、相手はドンじゃないか!!!
そういえば、美人さんを乗っけてシー・カヤックを漕いでいるドンを、ダイビングの帰りに見かけたっけ。
あとでからかってやろう。



後、最後のダイビングを終えて、シャワーを浴びる。
いつものようにビーチ・バーに立ち寄り、サンセットの時間を待つ。
ランテンガの夕陽
はとてもきれいだと聞いていたので、今日こそ写真に収めようと決めていた。
なにせEast Wingなもんで、こちら側からは夕陽は見えにくい。West Wingの方へ行くのも面倒なので、DSの裏から海に突き出た岩場に出ると、ちょうど良い具合に拝むことができた。

空が黄金色に輝き、海がその光を映し出す。
断崖の先っちょの椰子の木が、なかなかフォトジェニックで良い感じ。

この美しい光景を見るのも最初で最後。もうすぐ夜の帳が下りる。

残惜しいけれど、写真を数枚撮って、バーに戻る。SANIとも明日でお別れ。セブンスターを餞別にあげると、お返しにと、バティックハンカチをくれた。





ランテンガのサンセット



「夕食の後、また来るねー」

と言い残してレストランへ。
もう一度仔猫たちの姿をじっくり眺め、夕食が済んだその足でDSへ行ってみた。
ドンに、朝の目撃情報を話すと、

「どういうわけか、彼女僕のこと妙に気に入っちゃったんだよ」

と、あくまでも自分は興味はなかったようなことを言う(ほんとかいな)。
まあそういうことにしてあげて、とりあえず、せっかくスタッフ全員揃っていたので、写真を撮ったり、話をしたりしているうちに9時過ぎてしまった。

「明日は9時のボート? 見送りにいくよ!」

と、ドン、デイブ、僧侶。そんな言葉を聞くだけで泣けてきた。


ーに戻ると、SANIが早々と店じまいを始めている。

「今日は友達が来ているから・・・・・・。こっちは閉めて、レストランの方で飲んでもらうことになるけど、いい?」

なんだかよくわからない理由だけど、その慌てた様子からすると、どうやらネコパパの指示らしい。カウンターにまだゲストがいるじゃん、と思ったら、スタッフが話をしているだけだった。いくら儲けにならないからって、バーテンダーが常時居てこそバーは機能するのに。
仕方がないので再びレストランに戻ってSANIとトランプで遊び、適当に飲んで最後の夜はおひらきになりました。



して、最後の朝が来た。

朝食が済めば、出航の時間はもうすぐ。いつもニコニコ微笑んでくれたフロントの女の子、ネコパパやSANIと握手を交わし、桟橋へ赴く。

あれだけ見送ると言っていたのに、DSのスタッフは誰も来ていないじゃないか――――!
まだ寝ているのに違いない。薄情者――――!!
と、思ったところにデイブだけがやってきた。
雨がぱらつく中、デイブも一緒に小さなボートに乗って、沖に停泊しているスポードボートに乗り換える。
慌しく別れを言うと、まもなくエンジンがかかる。感傷に浸る間もなく、ボートはあっという間に島から遠ざかった。
楽しい休暇は終わってしまった。あとはトレンガヌ観光をして、日本へ帰るのみ。
でもトレンガヌ市内を観光するのは初めてなので、結構楽しみだったりして。
現金なことに、島を出たら、すっかり観光気分になってしまった。
ランテンガは雨だったけれど、メラン港が近付くにつれ、空は明るくなり、元気なマレーシアの太陽が、姿を現した。


 

おまけ




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