今でも時折、この島のことを思い出すと胸がいっぱいになる。 白く輝く広いビーチやサンセットの美しさ、 そして、語り尽くせないほどの楽しみを与えてくれたスタッフたち。 どの風景、どの瞬間を思い出してもいとおしい。 私にとって、マレーシアはもちろんのこと、 これがアジアへの初めての旅となった。 だからこそ、思い入れも強いのかもしれない。 けれども、治療法の見つからない南の島中毒症になったのは、 間違いなくこの旅が始まりだ。 この島の空気が、今も身体の中に残っているような気さえする。 それが薄れ始めると、息苦しくてたまらない。 潮の香りを含んだ酸素が必要になり、 私は次の旅への準備を始めるのだ。 そんな時、必ずこの島の景色が頭をよぎる。 それでも決めかねてしまう。 もし神様が最後に一度だけ旅をさせてくれるのならば、 私はこの島を選ぶだろう。 だから、その時が訪れるまでの大切な心の場所として、 とっておきたいと思う。 |